岡山県内でもこんなに違う？知っておきたい地域特有の風習｜瀬戸内エリア編

＜この記事の要約＞

• 岡山県の中でも瀬戸内地域では特に独自の風習があります

• 瀬戸内では現在も受け継がれている風習があります

• 故人を想う気持ちが形になった風習もあります

せとうちホールのある瀬戸内エリアは、岡山県の中で比較的ローカルな風習が多い地域です。県全体の風習であっても、瀬戸内では独自のプラスαがあることもしばしば。他地域では聞いたことがなかったり、県内の方からでも「なんで？」と驚かれたりすることがあります。同じ岡山県なのに不思議ですよね。そんな瀬戸内特有の風習をせとうちホール支配人・髙嶋が紹介します。

瀬戸内エリア独自の風習4選

火葬を待たずに還骨回向（かんこつえこう）

岡山の中でも瀬戸内特有の風習というと、収骨前の還骨回向です。一般的に還骨回向とは、火葬後ご遺骨が戻ってからお経をあげることをいいます。それが瀬戸内では火葬場での炉入れ後、火葬を待たず自宅やホールへ戻り、お勤めをする。つまり、ご遺骨がないままお経をあげ、そののちにお骨上げに向かうんです。なんだか不思議ですよね。

実は、これは土葬の名残なんです。土葬はお体を埋葬するので、お骨は帰って来ません。だから昔の人は埋葬後、魂を入れたお位牌を祭壇に据えて拝んでいたんです。だから瀬戸内地域ではお骨がない状態でのお勤めは今でもよくあり、前看経（まえがんき）、戻り看経（もどりがんき）とも呼ばれています。

ただ最近では、時間の都合や火葬場のルールにより、代表者数名が火葬場に残り、お骨上げをすることが増えてきています。先に帰った人たちで還骨回向をし、お骨が帰ってくるのを待つ。告別式の最後に初七日までを組み込み、すべてを終えてご出棺するケースも増えたので、ご収骨後にお勤めがないこともあります。

お墓を守ってくれる六地蔵さまにお供え

お墓の入口に六体のお地蔵さまが並んでいるのを見たことはありませんか？ 告別式の朝、町内の方が葬家のお墓を掃除し、六地蔵さまにお団子を据える。これも瀬戸内特有の風習で、他ではまず聞いたことがありません。

かわらけ（土器）という5～6センチの白いお皿に、白玉のようなお団子を１つのせる。それを六体分、一皿ずつ据えていきます。お墓を守っていただいている六地蔵さまへのお供えですね。お供えをするのは町内の代表者お二人ほど。お通夜の際に、かわらけとお団子の6皿6個をお渡しします。これは仏式の場合で、神道の場合はお団子がお塩とお酒に。お酒でお清めをして、お塩を盛る。

数少ないですが、町内の方がお手伝いいただく葬儀では今でもされている風習の一つです。お墓参りの際などにも、六地蔵さまの前で手を合わされている様子は今でもお見かけします。

旅立ちには故人の好物を詰めたお弁当を

葬儀でのお供えに「盛りご飯」というのがあります。故人さんの使っていたお茶碗で山盛りのご飯をお供えするというものです。それを棺に納め、旅立ちのときにお弁当として持っていっていただくんですね。でも瀬戸内では、それとは別には本当のお弁当を棺にお入れすることがよくあります。いわゆる幕の内弁当のようなもの。故人さんの好物をたくさん詰めた手作り弁当。ご家族だけでなく、懇意にしていた町内の方が作られる場合もあります。特に年配の方がお身内にいらっしゃるご葬儀ではよくお見かけします。

お弁当の中身は十人十色でわりと寛容。仏式ではこれから仏道に入るのだから精進料理をという考え方もあるようですが、ご出棺はまだ旅立ち前と捉え、とにかく故人さんの好きなものを詰めてあげようという場合が多いですね。

「仮屋（かりや）」は故人が旅立つ前の拠り所

板の上に竹ひごのようなものを交差させ、中心に5円玉をぶらさげる「仮屋」というものがあります。昔は六文銭を模したものをぶらさげることもありました。この仮屋を告別式の日に吊るす。最近は少なくなってきましたが、昔は町内の方が葬家の縁側に吊るしてくれていました。四十九日の間はそのままずっと縁側に提げておきます。仮屋は故人さんが一時的に帰る「家」のようなもの。帰るといっても、ご出棺後、故人さんは自宅へは戻れません。ただ、旅立つ前の49日間は近しい皆さんの近くにいらっしゃると言われています。自宅には戻れないので、旅立つ前の仮住まいというか、拠り所が仮屋ということのようです。最近では縁側のあるお家が少ないので、窓際にかけられることもあります。四十九日が過ぎ、納骨が終われば仮屋は処分されます。

---

せとうちホールから皆さまへ

風習をしてもしなくても、最優先はご家族の思い

本来、風習とは次へ次へと連綿と受け継がれるものですが、コロナ禍を過ぎたころから一気に少なくなっているのが現状です。風習をしないだけでなく、風習を知っている方が徐々に減り、新しい世代では風習自体を知らない方が増えています。正直なところ、寂しい気持ちはありますが、風習を行うことがお家の方にとって負担になってはいけません。大事なのは心残りのないようにお見送りいただけるかどうか。それに伴い、古き良き風習の継承など、私たちがお手伝することでより良いお葬儀ができるのであれば、それが一番だと思っています。

 
岡山県内に13ホールを展開している「さくら祭典」では、地域の風習を理解した地元出身のスタッフが、あらゆる角度からご提案させていただきます。葬儀の風習やしきたりに不安を感じたら、お気軽にご相談ください。

＼ どんなことでもお気軽にご相談ください ／